現在、AI技術の急速な進展により、科学研究のあり方そのものが根底から変わりつつあります。 これまでの研究は、主に研究者の経験や繰り返される試行錯誤に依存してきましたが、仮説生成や材料探索、データ解析のプロセスにAIを導入することで、研究スピードと新たな発見の可能性が飛躍的に向上しています。
京都大学は、この世界的な潮流「AI for Science」を大学戦略の一つとして位置付け、全学横断的に推進する枠組みとして本イニシアティブを展開します。本イニシアティブは、材料科学、生命科学、数理物理学、情報科学といった多様な分野におけるAI活用研究を横断的に結び付け、戦略的に推進するための枠組みです 。これは、日本の「第7期科学技術・イノベーション基本計画」における国家戦略とも連動した、本学の最重要施策の一つです。

本イニシアティブにおいて、総合研究推進本部は学内の多様な研究領域を俯瞰し、それらを横断的に結びつけるプラットフォームとしての役割を担います。具体的には、体制整備、人材育成、学内外連携の観点から研究推進に係る支援を行い、研究手法の高度化と分野融合を加速させます。
参画プロジェクトの紹介
AI for Materials 国際研究拠点
シンガポール国家研究財団(NRF)の「AI for Science (AI4S)」事業に採択された国際共同研究プロジェクトを基盤として、2026年に設置された高等研究院の連携研究拠点です。本拠点では、AIを活用した材料設計や界面最適化などの先端研究を通じて革新的エネルギー材料の創製を加速するとともに、研究人材の育成と国際的頭脳循環を推進しています。
生成科学研究拠点準備室
生成AI時代における新たな学術領域「生成科学(Generative Science)」の創成を目指し、設立された検討組織です。理学、情報学に加えて、哲学、法学、文学などの人文社会系研究者が参画し、AIと人間が創り出す新しい科学や社会のあり方を根本から問い直します 。「シン京都学派」とも呼べる多角的な視座から、世界と学問を接続する新しいインターフェースとしての拠点を形成します 。
次世代AI情報・AI教育研究センター
従来の情報リテラシーに加えて、AI(人工知能)のリテラシー(基本的な活用能力)、特に生成AIと基盤モデルの活用能力の教育を行うことを目的としています。国際高等教育院・大学院教育支援機構などの学内組織と連携して、カリキュラム・コンテンツを整備し、全学共通科目及び大学院共通科目に貢献します。
DX-Poly
データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト事業の京大拠点として、バイオ・高分子ビッグデータ駆動による完全循環型バイオアダプティブ材料の創出を目指して研究を進めています。
Kyoto University Physical AI Community (KUPAC)
Physical AIの研究開発に取り組む学生主体のコミュニティです。開かれたコミュニティとして、Physical AIの発展に貢献することを目指しています。
医療DX教育研究センター
医療DX教育研究センターは、必要以上に医療者の⼿を煩わせる労働集約型の現在の医療を、情報技術の発展が可能にしようとしているコンピュータと⼈が協⼒して患者さんを⽀える サイバーフィジカルな未来の医療へと変え、 そこに社会全体を導くリーダとなる⼈材を育成します。
京都大学免疫モニタリングセンター
AMED SCARDA事業「ワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点の形成事業」の京都大学ヒト免疫サポート機関として、ワクチン有効性の評価方法を標準化することを目指しています。
随時、参画プロジェクトを追加してまいります。
講演会の開催
京都大学 AI for Science イニシアティブの展開を記念し、2026年3月26日(木)に講演会「AI for Science 研究のフロンティア」を開催いたしました。
イベント詳細:AI for Science 研究のフロンティア