京都大学総合研究推進本部(KURA)

コラム

海外の競争的資金獲得による国際共同研究の推進支援

総合研究推進本部では、本学の研究者が世界の最前線で活躍できるよう、国際共同研究の推進を後押ししています。そうした取り組みの一環として、海外の競争的資金の申請支援と、生成AIを活用した情報基盤の整備を両輪として、本学の国際的な研究力の強化と存在感の向上に貢献しています。

競争的資金の申請支援では、欧州研究会議(ERC)の大型助成であるSynergy Grantに近年重点的に取り組んでいます。公募の初期段階から申請書作成、受入体制の設計に至るまで一貫して伴走しています。こうした支援を重ねることで、本学からの申請が審査過程で着実に好感触を得るようになってきており、国際的な大型助成金への挑戦を継続的に支える環境が整いつつあります。また、米国の代表的な競争的資金であるNIHグラントについても、現地研究機関との共同申請に取り組む研究者を支援するとともに、トランプ政権下で動向が注目されるNIH助成金政策の改革に関しても初動対応を進め、制度面の変更に迅速に適応できる仕組みづくりを図っています。

大型助成の伴走と並行して、多様な資金への申請支援も幅広く展開しています。欧州最大の研究支援制度の一つであるマリー・スクウォドフスカ=キュリー・アクション(MSCA)では、欧州の博士課程学生・ポスドクと本学教員とのマッチングやコンソーシアム合意の締結を継続的に支援し、同制度を活用した国際的な研究滞在と人的ネットワークの構築に貢献しています。

支援活動の効率化と高度化に向けては、生成AI(Google Notebook LMなど)を活用した情報基盤の整備を進めています。中規模から小規模の助成金情報を体系的にデータベース化し、AIに読み込ませることで、研究者が直感的かつ的確に情報へアクセスできる検索環境の実現を目指しています。さらに、研究者の多様なニーズに応じてScientify Researchというデータベースを活用した助成金の探索支援も行ったり、こうして得られた情報をGoogle Chatと連携させたりすることで、URA間でのリアルタイムな共有と迅速な対応を可能にし、支援の質の底上げにつなげています。学内説明会も定期的に開催し、Google Academic Research AwardsやERC Synergy Grantを題材に、研究者が助成制度の全体像を俯瞰しつつ戦略的に選択できるよう支援しています。

今後も、研究者のニーズに応じた柔軟かつ戦略的な支援体制を一層強化し、京都大学の国際的な挑戦機会の拡大やプレゼンスの向上に着実に貢献してゆきます。